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101ストーリー「ミュージシャンが語るスタンダード 」

Vol.02 奇妙礼太郎 2018.06.27

LEE(リー)の元祖モデル『101』を現代に伝えていくファッションストーリー。 さまざまな価値観が混在する今、そんな原点的なモデルをスタンダードと所縁の強いミュージシャンに着こなしてもらうとともに、“バンドの核=スタンダード”について再考。

彼らの紡ぎ出す音楽は、どんなことがベースとなり生まれたものなのか。昔から大切にしている原点に立ち返りながら紐解いていきたい。

第2回目は、泥臭くストレートなロックンロールからラヴ&ユーモアなフォークまでをソウルフルに歌い上げるシンガーソングライター、奇妙礼太郎が登場。音楽を始めたきっかけやライブパフォーマンスについて、彼のスタンダードともいえるコアとなるものを語ってもらった。

褒めてくれるんだったらもう少しやってみようかなという感じで、バンドをはじめた。

奇妙礼太郎
昨年末、メンバー脱退のためバンド名を変更したTENSAI BAND IIやトラベルスイング楽団など、これまでに数々のユニット、ソロで活躍を重ねてきたシンガーソングライター。新曲「水面の輪舞曲」が9月公開の映画『愛しのアイリーン』の主題歌へ決定。また、8月には、「奇妙礼太郎・Sundayカミデ弾き語りツアー “Ticket to Ride”-」を開催する。

—最初に奇妙さんが音楽を始めたきっかけはなんだったのでしょうか。

奇妙礼太郎(以下、奇妙):確か、中学生ぐらいの時にカラオケボックスができはじめて、そこによく友達と通うようになったんです。そこで、ASUKAさんの”始まりはいつも雨”を歌ったら友達がすごい褒めてくれて。今思うと、どんなに褒められたことがなかったんだって感じなんですが(笑)。で、褒めてくれるんだったらもう少しやってみようかなという感じで、バンドをはじめました。

—バンドからのスタートだったんですね。

奇妙:そうですね。週末はお酒飲みながらバンドをしていたんですけれど、当時はライブに出演したからといってギャラをもらえるわけではなかったんです。試しにお金を請求してみたらいくらになるかなって思って、自分の価値がどのくらいか分かるって意味でも1回聞いてようってことになりまして。そしたら、思っていたよりももらえたんですよね。バイトするのも嫌だったし、そんな感じで続けていたら今に至るような感じなんです。

—そんな感じでここまでこれてしまうなんてすごいですね。当時どんな音楽を聴いていたんですか。

奇妙:親がThe Beatlesが現役だったときの世代なんで、家にはそういうアーティストのCDがあって小学生ぐらいの時に自然と聴いてたかもしれません。あとは、学校に行くと友達が長渕剛や浜田省吾、CHAGE and ASKAとかを聴いていたのでそういうのを教えてもらったり。洋楽だと、Guns N’ Rosesが流行っていましたね。

Lee 101
ブランドを代表する最もスタンダードなモデル。ジップフライモデルで、ストレートなシルエットが特徴。今回は、そんなオーセンティックな101を、同色のシャツとジャケットをレイヤードしてスタイリッシュに昇華した。

—結構、幅広く聞いていたんですね。

奇妙:ただ、いわゆるバンドブーム世代ではあるんですが、僕の住んでいる関西は『三宅裕司のいかすバンド天国』がやっていなかったので、東京でバンドブームのなか育った人とはちょっと違くて。そこの知識がゴソッと抜けているので、大学生になってから友達に教えてもらって知ることもありました。

—そのなかでどういうものに影響を受けてきたのですか。ご自分にとってスタンダードになっている音楽があったりするのですか?

奇妙:今やっていることは、過去というより、今、周りの友達からタイムリーに影響を受けていることが多いかもしれません。あと、こんなこと言ってはダメなんですが、何かを作ることがあんまり好きじゃなくて(笑)。逆にパフォーマンスをするのは好きなんですがね。作っているといろいろなことを考えてしまって、あんまりのめり込めないんですよ。3回ぐらいパソコンとかキーボードを揃えて「よしやろう」ってなったんですが、実際やったことないっていう。誰かがフォーマットみたいなものを作ってくれて、そのなかで演奏したりするのが自分らしいのかなって思ってます。これは本当に昔から変わらないですね。

—といいますと。

奇妙:例えば、パフォーマンスは時間をもらって、その間なら何をしてもいいんですよね。時間というフォーマットをもらって、その中で自分でなんとかするみたいな。1時間ずっと黙っててもいいし、いろいろな形があるから楽しいんですよ。

—ある程度制限があるなかで何かをすることが好きなんですね。パフォーマンス以外で好きなことはありますか。

奇妙:音楽ではないんですがアウトサイダーアートが好きですね。普通は、何かを楽しむとき、それに関する知識があったほうが楽しめたりすることが多いじゃないですか。例えば、ただ普通に道を歩いている時だって、雑草とか花の名前とかを全部知っている方が楽しく歩けそうだし。でも、アウトサイダーアートはそういう前知識なしでも、見た瞬間ウワッてなるんです。あとは、料理している時もそうかな。料理のことしか考えなくていい時間が好きですね。

—なるほど。音楽作っている時はいろいろなことを考えていて、料理している時はそれに集中しているとのことですが、ライブパフォーマンスをしている時はどっちの状態なんでしょうか。

奇妙:パフォーマンスは料理している時に似てますね。料理は切り方とか味付け、調理法とか大体決まっているじゃないですか。ライブの持ち時間というフォーマットの中で、どう調理するかと似ているような気がするんですよね。

みんな友達、自分が守ってあげるから。

—奇妙さんは、結構頻繁にライブをやっていると思うのですが、どういうことを考えながらパフォーマンスしているんですか。

奇妙:普通ですよ。バンドのみんなといるのは楽しいし。ただ、少し前までは自分のすごいところを人に見てもらいたいからやっていた部分が少しあったんですが、最近は一緒に楽しもうっていう気持ちがすごく強くなってきたかな。「みんなおいで。ここ、ここ~。やるよー」みたいな感じ(笑)。

—それはいつくらいから変わってきたんですか。

奇妙:9月にワンマンツアーをやったんですが、ツアー中にだんだんそういう心の状態に変わってきたんですよね。今日も満員電車に乗ってきたんですが「みんな大丈夫~」って思いながら乗っているので全然イライラしないんですよ。あと、新宿駅とかの人混みで肩があたっても「みんな友達、自分が守ってあげるから!」と勝手に思っているのでなんだか気が楽なんです(笑)。

—他にライブや料理の時みたいに何かに没頭することはあるんですか。

奇妙:僕、お酒を飲む時期と飲まない時期があって、お酒飲んでる期間はやる気がすごく減るので、基本何もやりたくないんです。逆にやめている時期はいろんなところに行ったり、やってみようっていう気になって。そういう時期に、つるかめ算のドリルやったりしてました。

—つるかめ算! またなんでそれを選んだんですか?

奇妙:なぜだか今やったらできると思ったんですよね。昔より成長したし勝手に賢くなってると思ったんですが、そんな訳はありませんでした(笑)。あとはアメリカ建国の漫画を読んだりもしましたね。

—勉強しようと思うのがすごいです。

奇妙:でも、1人でやったからつまらなくて。やっぱり誰かとやるのが好きなんですね。どこかで引き語りするのだって、別に1人でやっているわけではないし。見る人がいたり、予定を調整してくれる人とか周りにサポートしてくれる人たちがいるから、やっていて楽しくなってくるんですよね。

アイビーリーガーから支持を得てきたWESTERNERは、オフホワイトの色味や上品な素材感でオンスタイルにも使えるドレッシーな1枚。仕立ての良いジャケットと合わせて、デニムの新たな着こなしを引き出そう。THE ARCHIVES WESTERNER 100Z(LM6100-51)のパンツ、STEPHAN SCHNEIDERのコート、ALLEGEのタートルネックカットソー、Garrett Leight California Opticalのメガネ、Royal Gorge Bridgeのレザーシューズ

—バンドもそうですが、やはり昔から誰かと一緒にやるのが好きなのは変わらないんですね。話変わって、服に関してこだわりはあったりしますか。

奇妙:自分では当たり前すぎて気付かなかったんですが、マネージャーからスウェードの靴ばっかり履いていると言われました。確かに、3足くらい似たような靴があって、それをローテーションしているんです。雨が降るような野外フェスにもスウェードの靴で出演したりするのでツッコまれました(笑)。

—今までの話を聞いているとそういうこだわり方をしなそうなのに驚きました。以前は見え方を気にされていたとのことですがどういうことを気にしてたんですか。

奇妙:写真についてなんですけど、できるだけ細く撮って欲しいとかシャドーを入れて欲しいとか、そういうことですかね(笑)。バンドの人みんな細いじゃないですか。別にこの仕事してなかったらどうでもいいんですが、人から見られるので少しでもマシな方がいいかなと。

—最後に、少し前までは黒髮だったのに金髪に染めたのは何か理由があったのですか。

奇妙:それはツアーが始まる時に、何か面白いニュースがあった方がいいかなと思いまして。お客さんも、どうなっているかちょっと見たいなってなるかなっていう遊び心ですかね(笑)。

Photo:Shota Kikuchi 、Styling:Hisataka Takezaki、Hair&Make-up:Masaki Takahashi、Model:Newspeak、Edit:Atsushi Hasebe、Text:Marina Haga

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