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101ストーリー「ミュージシャンが語るスタンダード 」

Vol.07 Dos Monos 2019.07.05

LEE(リー)の元祖モデル『101』を現代に伝えていくファッションストーリー。
さまざまな価値観が混在する今、そんな原点的なモデルをスタンダードと所縁の強いミュージシャンに着こなしてもらうとともに、“バンドの核=スタンダード”について再考。

彼らの紡ぎ出す音楽は、どんなことがベースとなり生まれたものなのか。昔から大切にしている原点に立ち返りながら紐解いていきたい。

第7回目は、ヒップホップにフリージャズやプログレッシブロックのエッセンスを盛り込んだ、エクスペリメンタルなサウンドを展開する3人組のヒップホップクルー、Dos Monos(ドスモノス)が登場。
去る3月にリリースされたアルバム『Dos City』が大好評を獲得しますます勢いに乗る彼らにとってのスタンダードとは?

荘子it(トラックメーカー/ラッパー)
Dos Monosのトラックメーカーとして、そのビート作りを担うほか、yahyelや向井太一へのトラックの提供でも注目されている。
リジットの『101』はジャストフィットで穿くとキレイめなスタイリングにも似合う。

AMERICAN RIDERS 101Z STRAIGHT(LM5101-500)、TOGA VIRILISのポロシャツ、StitchandSewの腕時計 26,000円、その他スタイリスト私物

TAITAN MAN(ラッパー)
Dos Monosのラッパー。バンド、DATSへ作詞を提供するなどの個人活動も行っている。
『101』のスタン ダードなシルエットはオーバーサイズで着用すれば、オールドスクールな穿きこなしにも最適。

AMERICAN RIDERS 101Z STRAIGHT(LM5101-500)、SON OF THE CHEESEのシャツ、O -のTシャツ、BOSTON CLUBのサングラス、NEON SIGNのネックレス、NIKE SPORTSWEARのスニーカー

—デスボム・アークとの契約が決まった経緯について教えてもらえますか。

荘子it:自分たちの音楽を気に入ってくれる人は、むしろ海外にいるんじゃないかと思って、最初から海外のレーベルにアプローチしたんです。その過程でいろんなレーベルを調べているとき、PitchforkっていうメディアのBEST NEW MUSICに選ばれていたJpegmafiaを聴いたらすごくカッコよくて……。その彼が所属してるのが、デスボム・アークだったんですよ。面白そうだから音源を送ってみたらすぐに「他の曲も聴かせて」みたいなレスポンスがあって、何度かラフなやりとりをしてたらいつの間にか契約しちゃった(笑)。

TAITAN MAN(以下TAITAN):メール7通くらいの往復で「じゃあ、契約で」みたいな。向こうもゴリゴリのメジャーレーベルって感じじゃないから、純粋に音が気に入ったアーティストには声かけて……みたいなスタイルらしく、展開は速かったですね。

—どのへんの音が気に入った、みたいな話はありましたか。

荘子it:直接、「オマエらの音楽のどこが好きだ」とかはまだ言われてないんですけど、デスボム・アークのインスタに「ブーンバップなヒップホップのノリに、フリージャズの小さなバンドがいくつも同時に演奏してるようなうわものが乗っかってて、これはすごく面白い」みたいなことが書かれていたんです。このコメントって、自分がトラックを作っているときに頭の中で想像している情景にすごく近いんですよ。日本でもライブはやってるんですが、やばいノリばかりがクローズアップされて、音については具体的に語られないですからね。だから、音を初めてちゃんと言語化してくれたデスボム・アークは、すごくフラットに聴いてくれたんじゃないかと思いますね。

—フリージャズとかプログレのエッセンスがDos Monosのサウンドのアクセントになっていますが、こうした音楽はいつ頃から好きだったんでしょうか。

荘子it:高校1年くらいですかね。中学で楽器をやるようになってから、いろんな音楽を聴くようになって、掘っていくうちにフリージャズとかプログレも聴くようになりましたね。こういう音楽って、今のシーンではあんまり聞こえてこない音だから面白いですよね。

TAITAN:初めはニルヴァーナとか、90年代ロックのコピーバンドとかやってたんですけど、だんだん逸れていきましたね。キング・クリムゾン、ピンク・フロイドから始まって、気づいたらプログレにどっぷり。だから、実は僕らってヒップホップ畑じゃないんですよ。

荘子it:ヒップホップは一番最後に聴いたジャンルかもしれないですね。先に現代音楽とかを聴いて、ようやくヒップホップにたどり着いた感じ。

TAITAN:プログレって、展開がころころ変わって、興奮の渦がどんどんできていくのが、当時の僕には最高の快感だったんですよ。だから、ヒップホップみたいにずっとループしてる音楽は、一番遠いところにあったんですよね。

いろんな人と”握手”したくて音楽を作ってる。(TAITAN MAN)

—一方で、スタンダードな音楽については、どう捉えていますか。

荘子it:大学1年のとき、ジャズ研の集まりでスタンダードジャズをセッションしたんですけど、自分はパソコンを持ち込んでエレクトロな音を鳴らしてて、結局スタンダードにいけなかったですね。

—それは、なぜ?

荘子it:自分がやる必要はないな……って思っちゃったから。でも、キライとかではなく、むしろ由緒正しいものは好きですよ。スタンダードがあるからこそ、自分みたいにヘンなことができているっていう自覚はすごくある。逆に、自分みたいな音ばかりが世にあふれたら、スタンダードなことをやりたいですね。

TAITAN:カウンターとは違うんですけどね。

荘子it:別に、ひっくり返したいワケじゃないからね。むしろ、スタンダードジャズとかJ-POPとか、いい感じのR&Bとかが世の中にあふれてる情景はすごく好き。その中で、ちょっとしたひねりを加えたいってこと。「社会に不満でもあるんですか?」って思われがちなんですけど、決して不満はないです(笑)。

TAITAN:むしろ、握手するために音楽作ってますから。

荘子it:ヒップホップの曲を作り始めたのも、フリージャズとかプログレをガチで演っても、そういったジャンルが好きな人と仲良くなるだけじゃないですか。でも、それをビートの上に乗せると、それまで自分が関わることがなかったカルチャーの人たちと仲良くなれる。そういった人たちとの接点を見い出すために、ヒップホップはすごくありがたいツールでしたね。

TAITAN:日本にも僕らの音楽を好きでいてくれる人はいたんですよ。でも、そこに浸かっちゃうと、いつまで経ってもクローズドな空間でやらざるを得ない環境ができちゃうと思って。だから、アメリカで発信することを考えたんですよ。「海外のこういうレーベルから日本人が出ました」っていうほうが、みんな聴いてくれる可能性が高まるし、いろんな人と握手できますからね。

Lee『101Z』
アメリカを代表する老舗デニムブランド、Leeのアイコンであり、最もスタンダードなモデル。 史上初めてジップフライが採用されたモデルで、そのストレートなシルエットは100年近く愛され続けている。

—普段のファッションはどんな感じ? デニムはオーバーサイズにこだわっていたけど、それはどんな理由から?

TAITAN:昔はファッションにはこだわりがなくて、普通の格好をしていたんですけど、ヒップホップを聴き始めてからオーバーサイズのスタイルには強く影響を受けましたね。機能としてもいいし、なんかザコい考えですけど……デカくなったような(笑)。歩いて揺れる幅が大きいと存在がデカくなるみたいな、些細な効果も含めていいと思いましたね。それに、僕はなで肩だし、人に見せられるような体型じゃないんで、それをごまかせるのはファッションの力だなって思います。

荘子it:もとはスラムに住んでいる子どもたちが大人になっても着られるようにデカい服を買い与えられたことが発端ですよね。それを古着屋でオーバーサイズがカッコいいから買うっていう、全然違う意味合いになったのは面白いですね。だから、自分がオーバーサイズのコーディネートをするときは、それを頭の中で反芻して「オレが今、オーバーサイズを着てるのもスラムの家庭が子どもに服を買い与えていたからなんだよな。でもオレが、こんな飽和した日本でこんなものを着ているのは何の関係もないよな」って考えるのは好きですね(笑)。

TAITAN:音楽にも共通してるけど、パンチがあるものが好き。

荘子it:自分は、そこにロジックが欲しいかな……。

AMERICAN RIDERS 101Z STRAIGHT、FUTURのクルーネックスウェット、balのロンT、ベルト、BOSTON CLUBのサングラス、O -のジョイケース、NIKE SPORTSWEARのスニーカー

AMERICAN RIDERS 101Z STRAIGHT、O -のアノラック、FUTURのTシャツ、TROOPERのルームシューズ、その他スタイリスト私物

Dos Monos
荘子it(トラックメーカー/ラッパー)、TAITAN MAN(ラッパー)、没(ラッパー/サンプラー)からなる3人組HipHopユニット。
荘子itの手がけるフリージャズやプログレのエッセンスを盛り込んだビートと、3MCのズレを強調したグルーヴは、東京の音楽シーンの中にあってもオルタナティブな存在として注目されている。2017年にはSUMMER SONICに出演。FUJI ROCK FESTIVALにも荘子itとTAITANはDATSのアクトにゲストラッパーとして出演。2018年にはフランスのフェス『La Magnifique Society』をはじめ世界各地のフェスに次々と出演している。アメリカのレーベルDeathbomb Arcと契約が決定し、illcit tsuboiをプロデューサーに迎えた1stアルバムを今夏リリース予定。

Dos Monos 『Dos City』

レーベル:bpm tokyo
品番:BPMT-1013
価格:2,500円 + 税
■TRACK LIST
01. ドストロ 08. ドスゲーム
02. 劇場D 09. EPH
03. in 20xx 10. アガルタ
04. Clean Ya Nerves 11. スキゾインディアン
05. ドス大名 12. 生前退位
06. バッカス 13. ドスシティ
07. マフィン
■TRACK LIST
01. ドストロ 02. 劇場D 03. in 20xx 04. Clean Ya Nerves 05. ドス大名 06. バッカス 07. マフィン 08. ドスゲーム 09. EPH 10. アガルタ 11. スキゾインディアン 12. 生前退位 13. ドスシティ
Photo:Shota Kikuchi | Styling:Hisataka Takezaki | Hair&Make-up:Masaki Takahashi | Model:Dos Monos | Text:Yuzo Takeishi | Edit:Atsushi Hasebe

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