ワークウエアの歴史においてデニムの存在は不可欠ながら、13ozデニムには、ひとつの大きな弱点もあった。堅牢さと引き換えにウェイトが嵩み、さらには生地の厚みと比例するように運動性を犠牲にする他なかった。そんな弱点の突破口としてH.D.Lee社は1925年、ジェルトデニムを開発する。強撚糸を濃密に織り上げることで11.5ozと軽量ながらも、13ozデニムとほぼ同等の強度を担保し、足場の不安定な高所や運動量の多い労働環境において大いに重宝された。また右脚のルーラーポケットや工具などを放り込んでも破れにくいライニング付きのバックポケット、脱ぎ穿きの容易なジッパーフライなど、多種多様な職に就く労働者が享受できる機能も搭載する。70年代まで長年にわたり継続展開されたジップフライモデルから、1950年代初期に見られた意匠を忠実に再現したモデル。