1960年代に差し掛かるとジーンズはすでに若きREBELたちだけでなく、あらゆる世代やライフスタイルをフォローするデイリーウエアとしての色彩を強めていた。そんな爆発的な需要に応えるよう、各社がより強固な供給体制を確立した時代でもあった。1962年のアーカイブをリバイバルした本作からも、急速なグローバリゼーションの様がいくつか見て取れる。同時代にはすでに世界基準となっていたサンフォライズド(防縮)加工とジップフライをはじめ、より広い幅で製織できるよう進化したデニム地に向け、アウトシームは片耳仕様なども混在し、ブランドロゴも今日まで継続採用されるオリジナルフォントが採用される。時代の気運とシンクロするよう、特定のライフスタイルに紐づけられることのない自由な感覚がプロダクトにも如実に反映されている。
黒地に金の文字が織られた黒タグは中央ではなく、向かって左位置に縫い付けられ、俗に"サイド黒タグ"などと呼ばれる。'62年モデルにはレジスターマークの記載がまだない
Leeが戦前、ワークウェアに初めてジッパーを採用し、それが'60年代にはグローバルスタンダードに。スライダー裏の片ヅメでロックする仕様のグリッパージッパーを採用する
Leeが1940年代から採用する左綾のサンフォライズドデニム。当時のセルビッジデニムはより広い幅で製織できるようになっており、アウトシームは片耳仕様となっている