WORK WEAR
労働着として生まれながら二十世紀、いや二十一世紀の今に至るまで服飾文化に影響を与え続けているデニムウェア。その礎となったH.D.Lee COMPANYは、アメリカの様々な労働環境に応じたワークウェアを供給することでワーカーたちに強い信頼を得てきた企業であり、とりわけ西部開拓時代からの伝統的な生活様式を体現するカウボーイにフォーカスした"RIDERS"は戦前に誕生した"COWBOY"ブランドをその始祖とし、やがてはアメリカを代表するデイリーウェアへと発展した特別な存在である。このRIDERSブランドが戦後の新時代を牽引するべく解き放ったデニムアウターが"RIDERS 101-J"である。フロントプリーツやバックルバックを装備する、ワークウェア黎明期からのメソッドと決別したスタイルはスタイリッシュであり、それでいてしなやかかつ堅牢な左綾デニムや片手で容易にアクセスできるよう配置した胸ポケットといった、カウボーイの労働環境に沿うワークウェアのDNAを宿している。その初期モデルである1948年の生産分を復刻した今作からも解る通り、70年以上の時を経へていながらいささかも古臭さを感じさせない。タイムレスピースと呼べる一着。後世に語り継がれる傑作品なのである。Written by Haru Jitsukawa / photographed by Kosuke Kitao
101-J 1948 model ¥49,500(tax in)
胸ポケット
右手で左ポケット、または左手で右ポケットに手が届きやすいようフロントヨークと連動して斜めに配置されたフラップ付き胸ポケット。その上を走る2本のステッチラインは、上半身の逞しさを強調するデザインアクセントに
センター赤タグ
1948年のヴィンテージピースに縫い付けられた通称"センター赤タグ"も忠実に再現。中心にLeeのロゴ、それを上下で支えるように"UNION MADE"と"SANFORIZED"の文字を配置。50年代のタグよりも非常に簡素だ
デニム生地
所蔵するヴィンテージから採取した糸を解析して再現した13.3/4 ozの左綾デニム。高密度に織ることで、着心地はスムースだが堅牢性に優れ、着込んでいくと101特有の、雨が降ったようなタテ落ちが楽しめる