WESTERN WEAR

WESTERNER 100-J 1962model

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ジーンズが労働着から日常着へ昇華しつつあった1950年代だが、その広まりはリベラル気質な西海岸を中心に、限定的な地域に留まっていた。依然として階級社会が色濃い東海岸、とりわけエスタブリッシュメント層には厳格なドレスコードが存在し、ジーンズはあくまでも作業着であるとして、通学時の着用を認めない学校も珍しくなかった。それほど頑固な東部市場を開拓すべくH.D.Leeカンパニーは1959年に“WESTERNER(ウエスターナー)”を発表する。同シリーズは “RIDERS 101”のセットアップを、デザインを踏襲しながら素材をデニムからコットンサテンに変換したもので、ベージュを始めとするアースカラーとサテンが放つ微光沢はデニム特有の土臭さの代わりに清潔感と上品さを漂わせる。

そんなウエスターナーと伝統的なアイビースタイルとの親和性が高いことを当時の若者たちは瞬時に感じ取ったのだろう。西部開拓時代を想起させるネーミングも相まって爆発的人気を博し、その潮流が遂には保守的なドレスコードをも上書きしたのである。1962年のヴィンテージピースを再現した復刻ジャケット。この一着は、ウエスターナーが持つ様々なスタイルとの親和性、汎用性の高さを我々に再認識させてくれるのだ。written by Haru Jitsukawa / photographed by Kosuke Kitao

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  • ディテール 生地

    生地

    デニムとは異なり、コットンサテンは滑らかな質感が特徴的だが、生地は厚手で耐摩耗性にも優れている。ファッションユースの性格を持ちながら、ワークウェアブランドとしての遺伝子がまだ健在だということが窺える

  • ディテールポケット

    ポケット

    デザインのアクセントともなる胸ポケットは101-Jと同じく、斜めに配置され、腕を胸の前で交差することでアクセスしやすい仕様。フラップには黒ベースに金文字でブランド名をあしらったピスネームが縫い付けられている

  • ディテール 織りネーム

    織りネーム

    101-Jとは異なる色調でレイアウトされた、ウエスターナーの織りラベルは、糸色や文字のフォントも62年の個体を再現。この時代は商標登録を意味する“Ⓡ”や“TM”表記がなく、サイズ表記は独立したラベルとして添付されている