WORK WEAR
フィフティーズはアメリカのゴールデンエイジだと言われる。郊外の家々のリビングにはTV、キッチンには大型冷蔵庫。みずみずしい芝生の庭の横に設えたガレージには、未来を感じさせるテールフィンを装備したクルマがガレージに納まっていた。また一方ではビートニクやロックンロールといった階級や人種を問わず精神世界を表現するカウンターカルチャーが芽吹いた。秩序と混沌が反目しながら共存する時代に"Lee RIDERS 101-Z"もまた輝ける黄金期を迎える。馬具を守るため先端を潰したリヴェットや金属を使わないスレッドリヴェット、バックポケット内側の当て布など、労働着らしい堅牢性を踏襲したディテール。それでいて縮みを気にせず穿けるサンフォライズド加工のデニムや開閉が楽なジッパーフライ、逞しくも洗練されたシルエットが盛り込まれたのが、この1954モデルである。ワークウェアとしての矜持とデイリーウェアからファッションへの可能性。その二つが最もバランスよく共存したマスターピース。1年後の1955年に公開された映画「理由なき反抗」で、主演のジェームズ・ディーンが劇中だけでなくプライヴェートでも愛用していた事実が広まると、その地位は21世紀の今に至るまで揺るぎないものとなった。
RIDERS 101-Z 1954 model ¥28,600(taxin)
センター黒タグ
黒地に金ロゴが際立つ通称"センター黒タグ"は'50年代の最初期デザイン。労働組合を推奨する企業製を意味する「ユニオンメイド」と「サンフォライズド(防縮)」の表記が
ジッパー
スライダー裏の片ヅメでロックする仕様のグリッパージッパーは、古典的なボタンフライジーンズに不慣れな都会人に重宝され、それ以降のグローバルスタンダードとなった
バックポケット
バックポケットに縫われたピスネームにはまだⓇマークがない。"×"型のカンヌキ=スレッドリヴェットや補強の裏地を当てたポケットなど、細部はワークウェアそのもの