WESTERN WEAR
第2次大戦の終結を受けて戦地から若者たちが故郷に還ってくると、街は戦勝ムードに包まれ、疲弊していた国内の経済や産業が再び息を吹き返す。それは生活に必需な事物だけではなく、戦時中は控えていた娯楽産業、たとえば映画や音楽、旅行やお洒落......にも向けられた。そんな機運が高まってきた1948年に登場したのが「101B RIDERS 1948 MODEL」だ。戦前から牧童向けのワークパンツとして101シリーズはCOWBOYの名で展開していたが、1944年~1946年にかけてその名をRIDERSへと変革する。大戦中には省かれえていたヒップラベルが装着され、ステッチはすべてイエローに統一された。品番の末尾にBが付くことから分かるとおりフロントはボタンフライで、ボタンにはすべてRIDERSの刻印が入る。サンフォライズド(防縮)加工を施したレフトハンド(左綾)デニムのジェントルな表情や穿き心地の良さは、膝から裾に欠けてストレートなフルカット・シルエットと相まってより近代的なスタイルに洗練され始めているのが見て取れる。いわばフィフティーズに起こるデニム革命前夜に完成した、次世代のジーンズ。1948年の101B RIDERSはジーンズの一つの完成形、と言えるだろう。
RIDERS 101B 48model ¥19,000+tax
センター赤タグ
'50年代前期まで使われた"センター赤タグ"。初期の101BではCOWBOYと同じく、ロゴの"e"の文字が傾斜した「斜めe」だったが、フラットな「平行e」へとデザインが変更されている
ボタンフライ
初期の101BではCOWBOYのトップボタンに、無刻印のスモールボタンだったが、1948年モデルではトップボタン以下、すべてのボタンがRIDERSの刻印入りに変更されている
ピスネーム
'46年頃から採用される、右バックポケット口に縫い付けられたヒップラベル。60年代に入るとⓇ、'70年代にはM.R.のマークが加わる。この細かな年代の差異もしっかり再現した